ランド・プリンス


僕は 一生
この城という 牢屋からは出られぬと
遠くからの 歌聞きながら
いつの日も そう 思っていた

美しく 流れる
その歌声の正体を
いつからか 探して
僕は一人 さ迷った

牢屋の中 その歌が
僕に希望 見せてくれる
その歌だけが僕を 癒す

「君はどこにいるの?」
姿見えぬ君に
想いばかりが 募って
僕を 狂わせる
城から出たい 牢屋から出して
君の歌声を間近で 聞きたい

「君に会いたいよ」
海へと走って
目的地は すぐそこ
とても近いのに
君に会えない 君に会えない
会いたいのに すぐそこにいるのに

聞こえて来た 歌声は僕を
呼んでくれて いるのだろうか?


歌声が消えて 代わりに
少女が一人 現れた
その娘(こ)は 一言も
声が出せぬと 言ったんだ

ある時 僕はふと気付く
彼女の不審な行動に
海を見つめ口を開き
泣きそうな顔で 笑ってる

人魚姫が泣いている
僕は君の支えには なれないのかな
君の笑顔が見たい


「海の歌が 好きなんだ」
僕が君に そういうと
君は 少し 寂しそうに笑った

彼女はきっと 海の声なのだと
その手を取って 君が好きなんだよと
伝えたくて 伝えられなくて
君は僕の前から 消えて行った

もう会えないの その声が聞きたい
「いつか また会える日が いずれ来ますか」
「それとも君を 追うべきですか」
君はもう ここにはいないんでしょ?


城から抜け出した 王子様は
歌姫の元へ 会いに行った


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